XXXVII. Forms Data Format 関数

導入

Forms Data Format (FDF)は、PDF ドキュメント内部のフォームを処理する ためのフォーマットです。FDF の詳細および一般的な用途については、 http://partners.adobe.com/asn/acrobat/forms.jsp にある ドキュメントを参照ください。

FDF の基本的な考えは HTML フォームに似ています。基本的な違いは、 投稿ボタンが押された際にフォームに埋められたデータをサーバに送信する 方法のフォーマット(これが Form Data Format そのものです)およびフォームの フォーマット自体(これは Portable Document Format、PDF です)です。 FDF データの処理は、fdf 関数が提供する機能の一つです。しかし他にも 機能はあります。既存の PDF フォームを用いてフォーム自体を修正せずに 入力フィールドのデータを入力させることもあるかと思われます。 このような場合、FDF ドキュメント を作成し (fdf_create())、各入力フィールドの値を設定し (fdf_set_value())、PDF フォームとそれを関連付けます (fdf_set_file())。最後にブラウザに MIME 型 application/vnd.fdf で送信する必要があります。 ブラウザの Acrobat Reader プラグイン がこの MIME 型を認識し、 関連する PDF フォームを読み込み、FDF ドキュメントからのデータを 書き込みます。

テキストエディタで FDF ドキュメントの中を見てみると、 FDF という名前のカタログオブジェクトが見つかる はずです。このようなオブジェクトには FieldsFStatus といった複数の エントリが含まれます。 最も多く使用されるエントりは Fields および F で、Fields は 一連の入力フィールドを指し、F は このデータが属する PDF ドキュメントのファイル名を保持します。 これらのエントリは、FDF ドキュメントの中で /F-Key または /Status-Key として参照されています。fdf_set_file() および fdf_set_status() のような関数により、これらの エントリを修正することが可能です。Fields は、 fdf_set_value()fdf_set_opt() 等で修整可能です。

要件

http://partners.adobe.com/asn/acrobat/forms.jsp から取得可能な FDF toolkit SDKが必要です。 PHP 4.3 以降では、少なくとも SDK version 5.0 が必要です。 FDF toolkit library はバイナリ版のみ利用可能で、 Adobe によりサポートされているプラットフォームは Win32、Linux、Solaris、AIX です。

インストール手順

--with-fdftk[=DIR] を指定して PHP を コンパイルする必要があります。

注意: fdftk サポートを指定して PHP を設定した際に問題を発生した場合、 ヘッダファイル fdftk.h および ライブラリ libfdftk.so が正しい場所にあることを 確認してください。configure スクリプトは、FDF SDK 配布ファイルおよび 通常の DIR/includeDIR/lib といった配置のディレクトリ構造をともに サポートします。このため、配布ファイルを展開したディレクトリにそのまま おいておくか、あるいは /usr/local/include および /usr/local/lib のように使用するプラットフォームに 応じた適当なディレクトリに移動して --with-fdftk=/usr/local を指定して 設定することが可能です。

Win32 ユーザへの注意: Windows 環境でこのモジュールを有効にするには、PHP/Win32 バイナリ パッケージの DLL フォルダから fdftk.dll を 使用する Windows マシンの SYSTEM32 フォルダ (例: C:\WINNT\SYSTEM32 あるいは C:\WINDOWS\SYSTEM32) へコピーする必要があります。

実行時設定

設定ディレクティブは定義されていません。

リソース型

fdf

多くの fdf 関数は、最初のパラメータとして fdf リソースを必要とします。 fdf リソースは、オープンした fdf ファイルの ハンドルです。fdf リソースは、 fdf_create()fdf_open()fdf_open_string() を用いて取得することが可能です。

定義済み定数

以下の定数が定義されています。 この関数の拡張モジュールが PHP 組み込みでコンパイルされているか、 実行時に動的にロードされている場合のみ使用可能です。

FDFValue (integer)

FDFStatus (integer)

FDFFile (integer)

FDFID (integer)

FDFFf (integer)

FDFSetFf (integer)

FDFClearFf (integer)

FDFFlags (integer)

FDFSetF (integer)

FDFClrF (integer)

FDFAP (integer)

FDFAS (integer)

FDFAction (integer)

FDFAA (integer)

FDFAPRef (integer)

FDFIF (integer)

FDFEnter (integer)

FDFExit (integer)

FDFDown (integer)

FDFUp (integer)

FDFFormat (integer)

FDFValidate (integer)

FDFKeystroke (integer)

FDFCalculate (integer)

FDFNormalAP (integer)

FDFRolloverAP (integer)

FDFDownAP (integer)

以下の例でフォームデータの評価に関して説明します。

例 1. FDF ドキュメントの評価

<?php
// 拡張モジュールが提供する入力文字列から fdf をオープンします。
// pdf フォームには volume, date, comment, publisher, preparer
// という名前のテキスト入力フィールドと 2 つのチェックボックス
// show_publisher および show_preparer があるものとします。
$fdf = fdf_open_string($HTTP_FDF_DATA);
$volume = fdf_get_value($fdf, "volume");
echo
"volume フィールドの値は '<b>$volume</b>'<br />";

$date = fdf_get_value($fdf, "date");
echo
"date フィールドの値は '<b>$date</b>'<br />";

$comment = fdf_get_value($fdf, "comment");
echo
"comment フィールドの値は '<b>$comment</b>'<br />";

if (
fdf_get_value($fdf, "show_publisher") == "On") {
  
$publisher = fdf_get_value($fdf, "publisher");
  echo
"publisher フィールドの値は '<b>$publisher</b>'<br />";
} else
  echo
"Publisher は非公開です。<br />";

if (
fdf_get_value($fdf, "show_preparer") == "On") {
  
$preparer = fdf_get_value($fdf, "preparer");
  echo
"preparer フィールドの値は '<b>$preparer</b>'<br />";
} else
  echo
"Preparer は非公開です。<br />";
fdf_close($fdf);
?>

目次
fdf_add_doc_javascript -- FDF ドキュメントに javascript コードを追加する
fdf_add_template -- テンプレートを FDF ドキュメントに追加する
fdf_close -- FDF ドキュメントを閉じる
fdf_create -- 新規 FDF ドキュメントを作成する
fdf_enum_values -- 各ドキュメントの値に対してユーザ定義関数をコールする
fdf_errno -- 直近の fdf 操作に関するエラーコードを返す
fdf_error -- 直近の fdf エラーコードについての説明を返す
fdf_get_ap -- フィールドの外観を取得する
fdf_get_attachment -- FDF に埋め込まれている、アップロードされたファイルを展開する
fdf_get_encoding -- /Encoding キーの値を取得する
fdf_get_file -- /F キーの値を得る
fdf_get_flags -- フィールドのフラグを取得する
fdf_get_opt -- フィールドのオプション配列から値を取得する
fdf_get_status -- /STATUS キーの値を得る
fdf_get_value -- フィールドの値を得る
fdf_get_version -- FDF API あるいはファイルのバージョンを取得する
fdf_header -- FDF 固有の出力ヘッダをセットする
fdf_next_field_name -- 次のフィールド名を得る
fdf_open_string -- 文字列から FDF ドキュメントを読み込む
fdf_open -- FDF ドキュメントをオープンする
fdf_remove_item -- フォームのターゲットフレームを設定する
fdf_save_string -- FDF ドキュメントを文字列として返す
fdf_save -- FDF ドキュメントを保存する
fdf_set_ap -- フィールドの外観を設定する
fdf_set_encoding -- FDF 文字エンコーディングを設定する
fdf_set_file -- FDF データを表示する PDF ドキュメントを設定する
fdf_set_flags -- フィールドのフラグを設定する
fdf_set_javascript_action -- フィールドの javascript アクションを設定する
fdf_set_on_import_javascript -- Acrobat が FDF をオープンした際に実行される javascript のコードを追加する
fdf_set_opt -- フィールドのオプションを設定する
fdf_set_status -- /STATUS キーの値を設定する
fdf_set_submit_form_action -- フィールドの投稿フォームアクションを設定する
fdf_set_target_frame -- フォームの表示対象となるフレームを設定する
fdf_set_value -- フィールドの値を設定する
fdf_set_version -- FDF ファイルのバージョン番号を設定する